第1章 ひと組みずつ 6

6 「われらは、ここにあって死ぬはずのものである」と覚悟をしよう。
   −このことわりを他の人々は知っていない。しかし、このことわりを知る人があれば、争いはしずまる。
岩波書店ブッダの真理のことば 感興のことば」中村元訳より
 
やっと6句めの解釈です。
ちょっと難解なので超意訳から。
「人間いつかは死ぬんやで。それを頭の中に入れとき。普通の人はそんな覚悟までしとらんよね。でも、その気持ちがあればなんでも受け入れられる。」
 
本文の「覚悟」とは、自己を制圧する、と言う意味も含んでいるようです。
つまり、人生にはいつか終わりが来ることを自覚した上で、それを元に自分を制御しようという意味のようです。
「他の人」とは賢者以外、つまり悟りを得ていない普通の人です。
もちろん僕たちは賢者ではない。
ブッダは賢者には当たり前のことを普通の人に諭しているのです。
 
なんか投げやりな教えにも聞こえるこの句。でも真理だと思います。
テレビなんかの話で、死を目前に体験した人は、よく人生観が変わった、毎日がありがたくなったと聞きます。
その境地を知る人には、心の安らぎと他者と争うことの馬鹿馬鹿しさが実感できているのだと思います。
馬鹿は死ななきゃ治らないなんて言葉もあるくらいだけど、生きながら死を覚悟することで、日々を心静かに送りたいものです。